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展示情報

2024年11月1日(金)~12月1日(日) 終了しました

十一面観音立像
 長浜市高月町渡岸寺 向源寺(渡岸寺観音堂)

木造 素地・截金 彫眼 像高39.3cm 平安時代
滋賀県指定有形文化財

10_十一面観音立像(滋賀県指定)向源寺(渡岸寺観音堂)蔵.jpg

 頭上に11面(1面欠損)を配し、条帛・天衣・裳を着て、左手は曲げて水瓶を持ち、右手は垂下して掌を前に向け、直立する通形の十一面観音像。カヤとみられる目のつまった堅い一材から像のほぼ全体を彫り出し、内刳はなく、像の表面に拭き漆を塗り、彩色・箔は施さず、素地を示す檀像風の小像である。天冠台の最上部には花冠をあらわし、伏し目がちの穏やかな表情や小さく整えられた目鼻立ち、ふっくらと両頬の豊かな丸い顔立ち、全体に細身でなで肩の穏やかな体つきなどが表現され、また背面に至るまで浅く気のきいた衣文えもんがにぎやかに刻まれている。制作は平安時代末期、12世紀と推定される。
 なお、本像の着衣部には、細く切った金箔を用いた截金という技法で、立涌・七宝繋ぎ・斜格子・菱繋ぎ、霰散ちらし等の文様をあらわし、その繊細優美な様は印象深い。像高1尺強の小像ながら装飾美に富み、王朝時代の志向が見て取れる華麗な像である。

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